企業ウェブマーケターの平均的な年収はこれから下がっていく

マーケティングに携わってからもう20年以上になる。

マーケティング職というと憧れの存在で、
皆、マーケティング戦略を作るようなポジションに憧れていた時代があった。

2000年初頭ごろからウェブが台頭し、
オーバーチュアとGoogle広告が2002年に日本に上陸し、
ウェブマーケティングの原型になるものが普及し始めた。

当時は、とても細かく設定ができる仕様で、
エリアターゲティングも何丁目まで指定できたし、
1つのキーワードに対して1円単位で入札できた。

毎日、大量に入稿していたひとつひとつのキーワードに対して、
入札金額を論理的に計算式を使い、入札額を1円単位で決定して入札をする。
という「ビッティング」という手動の入札方法をしていた。
※多分、ビッティングという言葉も一部の人しか知らないと思う。
運用者の中でもコレが完璧にできるのはほんの一部の運用者しかいなかった。

ヘルプやサポートも脆弱で、
どこに聞いても、どこの情報もはっきりした情報はなく、
自分自身で広告配信システムをハックして、
それをもとに、目標数字に対してアジャストするという時代だった。

それはとてもおもしろかった時代だったし、
同時にやることも多かったため、工数が多くかかっていたため、
大変な時代でもあった。

ときは経ち14年後に機械学習が導入される

そこから約14年後の2016年に機械学習が導入される。

実は自動入札の機能は、かなり前から管理画面には表示されていた。
実際に使うこともできたが、全然実績なんかでず、使い物にならない機能。
として、運用者の中では知られていた代物だった。

Googleが機械学習の導入を推奨し始めてから、
毎日のようにやっていたビッティングは不要になった。

なぜなら、それを機械学習がやってくれるようになったから。

最初は、その精度もやや疑わしい部分があった。

ただ、媒体の推奨というものは大きく、
いわゆる「教科書」であり「正しいやり方」という捉え方が一般的になった。

「学習中は変更はしては行けない」

この仕様があるため、
成果が悪くても「Googleの推奨ですから」と言えるようになった。


広告代理店側は顧客からのツッコミをかわせる、
この上ない建前になったことは間違いない。

おそらくGoogle Japanもそれを意識していたのだと当時感じた。

その建前が通じれば、広告主は学習中に予算を削ることはできないからだ。

そのうち精度も上がってきたため、広告主の予算も増えていった。


2016年頃の平均予算というものがあったとしたら、
その数倍に予算が増えているように感じる。

広告の成果を決めるのは「運用」から「クリエイティブ」が主体それは何を意味するか?

それまでは、広告の成果を決めるのは「運用」だった。

だが、概ねそこは機械学習が担ってくれることになったので、

成果を決めるのは「クリエイティブ」に主体が移った。

様々なクリエイティブを投入して、当たりを引くのが主体となった。

「運用」という言葉に「クリエイティブのPDCA」も含むのであれば、
「ビッティング」業務はなくなり「クリエイティブPDCA」になった。

ということ。

それはざっとした表現をすると、

バナーを毎週、何本も入れ替え差し替えをすれば
「運用業務」として成り立つ。

という事でもある。

つまり、
広告運用は「経験がない人でもできるレベルまで専門性が低くなった」

という状態になった。

ヘルプページや媒体のサポートも非常に充実した。

hagakureのようなアカウント設計の推奨なども公開されたこともあり、

詳細な情報が公開されるようになった。

つまり「確かな教科書が整備された環境」になった理由です。

その環境下で働く運用者で、成果に差がつきにくい状態になった。

つまり少し極端ではあるが

「広告運用は教科書通りの設定ができる人間がいればいい」

という環境になったわけです。

これは広告運用の話ですが、
ウェブサイト構築や、ECショップ、LP制作でも近い事が起きている。

ノーコードツールが多くリリースされ、
以前のようにHTML、CSS、JSなどのコードを覚える必要がなくなってきた。

こういった状況から、
この業界に入ってくる新しい社会人や、キャリアチェンジを図る人が増え、
この業界の人口が増えてきている。

業界人口が増えるとどうなるか?専門性が必要ない職種はどうなるか?

換えが誰でも効く


それは、

人材としての市場価値が低く見積もられることであり、

それは平均年収が低くなることを意味する。

企業が本質的にしたいことは「ウェブ広告をしたい」わけではない

「売上を上げたい」わけです。

「運用ができる」事と「成果が出せる」という事は意味が違う

先の通り、

企業は本質的には「ウェブ広告をしたい」わけでは無く、

「売上を上げたい」のです。

いまは、教科書的な事ができればいいと思っている広告主が多い。

なので、需要は「運用ができる」ということであろう。

ただ、広告主も馬鹿ではない。

教科書通りやってもこれ以上成果が上がらないとなったとき

新たなチャレンジをしていくことになる。

本質的にはそこに伴走できる人が本質的には必要となってくる。

そこが事業支援の最終的な需要の最終地点でもある。

それをするには「数字が意味することを読み解ける力」が必要になる。

これが分かる人と分からない人が分水嶺となる。

まとめ

しばらくは人材ビジネスが儲かるだろう。

それを超えてくると、より高レベル、高報酬の人材を求められるケースと

低レベル、低報酬人材が求められるケースの両極化してくる。

低レベル、低報酬人材の方は、クラウドソージングに多くいる。

本当は力量があるかもしれないが、

まだ事業が小さいため、力量が無いように見える場合もあるだろう。

広告主側は

「数字を読み解ける人」が本当に必要だと言われるようになるだろう。

Webマーケティングではなく

マーケティングができる人が残っていくことになっていくだろう。